楽待実践大家コラムをご覧の皆様、元ポスドク理系大家です。
緊急事態宣言が全国に拡大されましたね。新型コロナウイルスの影響は直ぐに収まりそうにありません。私も在宅勤務ですが、普段からリモートでも仕事をしていたので、主に仕事をする場所が変わっただけで、相変わらず忙しいのに変わりはありません。
さて、前回の生存報告からの進捗は、やはり新型コロナウイルスの影響があり、芳しくないありません。やったことと言えば、自主管理の戸建の入居希望者の内見立ち合いと、アパートの空室 1 室の入居を決めたことくらいです。滞納で強制退去になった戸建の原状回復工事が進まないのは痛いです。
まあ、前置きはこのくらいにして、本題に入ります。巣籠中でコラムを読む時間が増えた方もいらっしゃると思いますので、私らしく(笑)小難しいコラムをお届けします。
投資指標については、以前コラムに書きましたので、そちらを見てください。実際にどのようにシミュレーションしたら良いのかについては、テリー隊長さんの「シミュレーション日記」がオススメです。あっ、もちろん連載コラムの方も良い記事がありますね。
ここでは、ざっくりした話をします。まず、対象を営業純利益すなわち NOI (Net Operating Income) とします。以降は、文字式を利用したいので、
A : 家賃年収(戸数当たり)
B : 保有戸数
C : 保有年数
D : 空室率
E : 経費率
F : 賃料下落率
G : 大規模修繕費
H : 大規模修繕回数
とします。また、** は累乗を表します。率は百分率とします。このとき、計算式は以下のようになります。
【業者のクソ計算】
NOI = ABC
【空室率と経費率を考慮】
NOI = ABC(1-D/100)(1-E/100)
【家賃下落率も考慮】
NOI = ABC(1-D/100)(1-E/100)(1-F/100)**(C-1)
【大規模修繕も考慮】
NOI = ABC(1-D/100)(1-E/100)(1-F/100)**(C-1)-GH
今回のコラムでは、この中身はどうでもよく式の形の話になります。
まず、簡単なモデルで考えましょう。ニュースなどで「再生産数」という言葉を聞いたことがあると思います。これは、1 人の感染者が何人の 2 次感染者を生み出すかを表しています。この数字を 1 できれば 1 以下にしないといけないというのは、ネズミ算の話から簡単に分かります。高校数学で言えば、これは等比数列です。
感染者の増加数=現在の感染者数×再生産数**時間
となります。1 や 1 以下なら 1 は何乗しても 1 ですし、1 以下なら時間
とともにドンドン減少します。図でイメージを示すと以下のようになります。
時間当たりの感染者の増加数は一定か減少して行けば、悪化して亡くなる人や回復する人もいるので、やがて終息します。
ちなみに、感染爆発が起こったイタリアやアメリカ(特にニューヨーク)では再生産数は 2 ~ 3 だったようです。日本ですが、残念ながら 1 を超えています。報道によると、3/21 ~ 3/30 までの東京都の推定値は 1.7 でした。ヤバいです。
ここで、「再生産数」から日本の感染対策に触れておきます。まず、何故「三密」の対策が必要かについてです。これにはちゃんとした科学的根拠があり、クラスター班や保健所が感染経路を丹念に追跡しようとしていることにも科学的根拠があります。
三密(密集、密接、密室)の対策が重要というのは、武漢のデータが大きな根拠になっています。「再生産数」を感染者一人一人について丹念に調べた結果、多くの人が 0 ~ 1 に対して、7 とか 9 とか極端に大きな人がいたのです。先ほどの2 ~ 3 というのは要するに平均した値ですが、二極化しているということが大事です。さらに、大きな「再生産数」となっている人の特徴を分析すると、性別や年齢とかは関係なく、行動に違いがあったのです。その特徴が「三密」というわけです。つまり、「再生産数」が大きな感染者には一定の塊(クラスター)が存在しています。そのクラスターに所属していた感染者の「再生産数」を正しく評価しないと正しい「再生産数」が分からずシミュレーションができないからこそ、クラスター班が組織され、感染経路の解明に血道を上げているのです。
さて、もう少し?複雑なモデルも紹介しておきます。数理モデルは複数ありますが、今回は SEIR モデルと呼ばれるものを紹介します。SEIR といのは、
S : 無免疫者 (Susceptible)
E : 感染者 (Exposed)
I : 発症者 (Infectious)
R : 回復者 (Recovered)
のことです。ここで、回復者は免疫を獲得して再感染しないということが前提になっています。
先ほどと同じ不動産投資シミュレーションと同じように文字式で表してみましょう。あと変数が 3 つ必要なので、
a : 発症率
b : 感染率
c : 回復率
t : 時間
とします。S, E, I, R は時間の関数です。式は以下のようになります。
これは時間微分された常微分方程式です。この常微分方程式を解くとどのようなグラフになるかは、省略しますが、気になる方は「SEIR model」で Google の画像検索をしてみてください。
不動産投資と感染症と対象は異なりますが、紹介した 2 つのシミュレーションについて式の形から、その振る舞いがどのようになるかを考えてみましょう。
ここで、式が線形なのか非線形なのかが決定的な違いを与えます。中学数学で説明すると、線形の例は、a, b を定数として
y = ax + b
の 1 次関数、非線形であれば
y = ax**2
の 2 次関数です。時間を x とすれば、y が一定の割合で変化するか、変化する割合も時間で変わるかの違いです。非線形の場合は、先ほどの「再生産数」のグラフでも分かるように僅かな違いが決定的な違いを与えるということです。
話を不動産投資のシミュレーションに戻してみると、ダメなシミュレーションというのは線形のシミュレーションです。例えば、家賃年収は一定、退去もなく保有戸数も一定で、業者のクソ計算の式であれば、これは 1 次関数になることが直ぐに分かりますね。他の式も家賃下落率の効果を除いて定数とすれば線形の式になってしまいます。
しかし、これらは定数ではなく実際は時間の関数(つまり保有年数の関数)となるはずです。そうすると式は非線形になり僅かな違いが大きな違いを与えることになります。借入金利の僅かな違いや、空室率、家賃下落率などの僅かな違いで、儲けに決定的に違ってくるというのは、理解していただけると思いますが、式で説明すれば、それは線形の効果ではなく、非線形の効果として効いてくるからです。
ちなみに、不動産投資シミュレーションの式の NOI を保有年数当たりの NOI の増加率に書き直すと、式の形としては、感染症シミュレーションと似たような形で書けます。まあ、不動産投資シミュレーションの場合は、遅効性の投資であると言われるように時間流れがゆっくりしているので、その点では違いますが。
新型コロナウイルスは、どのくらい時間が経てば収束するのでしょうか?皆さん、気になるところだと思います。これが、行動抑制と「再生産数」の関係をどのように評価するかで、決定的な違いになるというのは繰り返しになりますが、それは式が非線形だからです。
政府は、70% とか言っていますが、これは科学的根拠と現実を考えてできそうな数字で言われたものかと思いますが、個人的には甘い数字だと思います。専門家は 80% が主流だと思いますが、もっと甘い予測をしている人もいて 50% くらいとか、本当に正しいのか疑いたくなる 2% で良いというものまであります。これらの予測も、今回紹介した SEIRモデルがベースになっています。同じモデルでもこんなに結果が違うというのは、その本質が非線形だからです。しつこくてすみません。
不動産投資シミュレーションも感染症シミュレーションも難しいですね。
コラムでは、URL のリンクを張れないなので、補足として、コメント欄で参考になるページを紹介しておきます。
"シミュレーション" - Google ニュース
April 18, 2020 at 12:47PM
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不動産投資シミュレーションと感染症シミュレーション|楽待不動産投資新聞 - 楽待
"シミュレーション" - Google ニュース
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