82年夏以来38年ぶりに甲子園に出場した帯広農(北海道)が、明治神宮大会準優勝の高崎健康福祉大高崎(群馬)を4-1で破り、甲子園初勝利を挙げた。2回に2点を先制し、3回1死三塁から4番前田愛都(3年)のスクイズで3点目。守備でも3回無死一塁、5回無死一塁、6回無死一塁で併殺に打ち取るなど堅守を続け、“4アウト”で敗れた38年前のリベンジを果たした。

   ◇   ◇   ◇

農業高校ならではの取り組みが実った。帯広農には冬場、野菜を管理する雪室を実習室につくる作業がある。スコップでコンテナに約10キロの雪を詰める作業をひたすら繰り返す。足場が不安定な中での作業は、体幹や下半身強化につながる。大豆の選別実習は約1時間、ピンセットや指を使って、傷のあるもの、サイズが足りないものを、休みなく仕分けし続けるもので、どんなときでもブレない集中力を養うのに役立つ。

部員の半数以上が農家の後継者。コロナ禍で高校のグラウンドで練習ができない期間は、実家が農家の選手は、その広大な敷地を使って体力を維持してきた。主将の井村は、兄とビニールハウスでキャッチボールを続け「感覚を忘れないようにしていた」という。

北海道の公立高校の甲子園勝利は13年センバツの遠軽以来7年ぶり。情熱的な前田康晴監督(44)のもと、定期的なメンタルトレーニングや、昨夏は18年夏準優勝で同じ農業高校の金足農に遠征に出向くなど、精力的な試みが特別な夏、花開いた。【永野高輔】