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農業用廃プラ処理に暗雲 分別、管理徹底が必須 泥付き、激しい劣化…業者敬遠 - 日本農業新聞

 中国が2017年末に廃プラスチック(廃プラ)の輸入を禁止したことを受け、日本の農家らが対応を迫られている。東南アジア各国でも輸入基準が厳格化しており、他業種と比べると汚れや劣化の激しい農業用廃プラへの風当たりはより厳しくなる見通しだ。各業者は農家がしっかり分別し、リサイクルできる形で排出することを求めている。

 サツマイモやメロンなど全国1位の産出額の農産物も多い茨城県。同県にある園芸リサイクルセンターは、県内で発生する農ビ、農ポリを回収し、農ビは床材などの再生原料に加工する。農ポリは燃料を作る処理業者に搬入する。吉岡路裕センター長が「農業用廃プラの処分で苦慮するのが土の付着と劣化だ」と明かす。

 持ち込まれる農ビは年間1500トンになるが、3割は土の重さだという。裁断・粉砕を行う機械の刃は土による摩耗で角が取れ、半年ほどで丸く削れてしまう。洗浄の過程で出た土は廃棄物となり、県外で処理される。土が多いほど処理料がかさみ、農家の負担となる。

 吉岡センター長は「晴天日に回収し、納屋や屋外に置きっぱなしにして劣化させず、リサイクルできるうちに処分することが、結果として農家の処理費の負担減につながる」と話す。

 廃プラの中でも塩素を含むものは焼却時に炉を傷めてしまい、リサイクルが難しい。農ポリを燃料化する処理業者は低塩素のものを求めており、センターでは来年度から、農ポリに区分されるものの塩素を含むグリーンマルチを回収対象から除外する予定だ。農家や産地が対応を迫られることになる。

 中国では、廃プラを含むごみを輸入し分別することで自国の資源としていた。しかし洗浄の排水による河川の水質汚染が問題となり、経済発展で廃棄物排出量が増えたこともあり廃プラの輸入禁止に踏み切った。

 中国の輸入禁止措置を受け、日本では各業種の廃プラが滞留。国内の処理業者は高品質な廃プラを選択できるようになり、農業分野の廃プラは引き取りの制限や処理料引き上げなどの影響を受けている。

 さらに、来年1月には国際条約(バーゼル条約)の改正で国をまたいだ廃プラの移動が一層難しくなる。同法は有害廃棄物の国境を越えた移動を制限してきたが、汚れた廃プラを規制の対象にすることで既に締約国が合意。海外輸出を規制する方針だ。

 山梨県南アルプス市の県農業用廃プラスチック処理センター。県内で発生する農業用廃プラの一時保管する。同センターはJAなどを通じて分別の徹底を呼び掛け、集まった廃プラの分別が不十分なものは再度センターで分別し、処理業者からの信頼も厚い。

 センターでは中国の輸入禁止を受け、これまで有価物として取引されていた農ビを19年から有料で処理委託することとなった。それに伴って、廃プラ回収袋の料金の値上げに踏み切った。

 清水靖常務は「国内で埋め立てられる場所は限られる。他業種から出る廃プラとの競合にもなっているため処理費の値上げをせざるを得なかった」と説明する。

 マルチや肥料袋はそれぞれ再生利用できるため、排出段階で農家が単一製品での分別を徹底することが一層のリサイクルと処理費の軽減につながるという。
 

<ことば> 農業用廃プラ


 マルチ、トンネルなどに使われる農業用ビニール(農ビ)や農業用ポリエチレン(農ポリ)、プラスチック類で加工した被覆肥料などがある。2018年は農業由来の廃プラは約10万トン。74%が園芸施設用で、残りは稲作、畑作などから排出。
 

「資源」の観点大切

 

 麻生一夫・前農業用フィルムリサイクル促進協会事務局長の話


 国際法の改正などで輸出できていた廃プラが国内に滞留している。農業用廃プラを業者が買い取るメリットは、同一の素材が多く手に入ることがあるが、他分野から排出される土の付いていない高品質の廃プラの方が処理コストがかからないため、農業用廃プラの引きは弱まる。排出者として、農家も“分ければ資源”といった観点を持つことが大切だ。
 

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September 01, 2020 at 05:01AM
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