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種苗法改正案 農業の多様性に関わる - 信濃毎日新聞

 中国や韓国で勝手に作られるのを放置できないという分かりやすい説明の陰に、根深い問題が潜んでいる。

 開会中の臨時国会で審議入りした種苗法改正案である。通常国会で成立が見送られ継続審議になっていた。

 農作物の品種を開発した者の知的財産権を強め、海外への不正な持ち出しを禁じる内容だ。国内の農家が収穫物から取った種を次の栽培に生かす「自家増殖」も、開発者の許諾が必要になる。

 改正によって農家が高い許諾料を払わされたり、少数の大手メーカーが種の供給を支配する方向に進んだりしないか。農業関係者の間に強い懸念がある。

 国は早期改正が必要だと強調するが、問題は農業の将来を大きく左右する。国民の理解も深まっていない。立ち止まり、改正の影響と効果を十分に論議すべきだ。

 根底には、種が持つ公的な側面と私的財産の側面のどちらをより重視するか、という課題がある。作り手重視か開発者重視か、と言い換えることもできる。

 開発者が公的機関なら問題とはならないだろう。だが政府は2018年、コメなどの主要作物について都道府県に品種開発を義務付けた種子法を廃止した。理由は民間企業の参入促進である。

 新品種の開発は、遺伝子操作など技術の発達で資本力のある大企業の優位性が増している。政府の言う「企業が活動しやすい国づくり」の先に農業の多様性が失われていく事態を想起するのも、杞憂(きゆう)とは片づけられまい。

 農水省は9月、中国と韓国のネット通販サイトに、日本で開発された計36品種が無断で掲載されていたとの調査結果を発表した。ブドウのシャインマスカットなど人気のブランド果実が目立つ。確かに見過ごせない。

 だがそもそも、こうした動きを今回の改正案できちんと止められるのか疑わしい。罰則があってもこっそり持ち出す行為を防ぐのは限界があるのではないか。

 効果的なのは相手国で品種登録を進めることだ。政府は開発者に海外での登録を促し、ノウハウの支援などに力を注ぐべきだ。

 許諾料について同省は、登録品種はまだ少なく大部分は未登録の品種であるため、農家の大きな負担にはならないと説明する。現状がそうでも、将来は新品種の登録が増えていくのではないか。

 それぞれの地域の風土に合った農業を育てる姿勢が、政府に欠けている。農家の視点から種子関連の政策を見直すよう求める。

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November 16, 2020 at 07:08AM
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