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本格派SF戦略シミュレーション『Stellaris』レビュー - IGN JAPAN

『Stellaris』は宇宙を舞台にした本格的な覇権SFシミュレーションだ。様々な命令を入力して、時間を進めることでゲームが進行していく。海外ではSteam版が人気となりDLCも発売されているが、今回、PS4で日本語版の正式リリースとなった。気になっているSF好きも多いハズだ。

最初は我々地球人からすれば一番よく知っている「太陽系」からスタートする国際地球連合を選び、銀河へと覇権を求めるのが第一歩となるハズだ。覇権だけでなく、自らの文明を進化させ、古代文明の痕跡の調査、異星人とのコンタクト、さらに戦争など、非常に多彩なイベントをクリアして行く必要がある。

非常に多くのイベントが発生し、その対処法も用意され、それに伴う命令も多岐にわたる。ゲーム序盤は各種命令の把握が非常に難しい。とはいえ、その辺は海外のSLGのみならず、日本の有名SLGシリーズである『信長の野望』、『三國志』といった、本格シミュレーションゲームではお馴染みの流れなのでこの手のジャンルが好きな人であれば問題無いだろう。

初期設定で全てが変わる

命令の種類が多いのはシミュレーション好きであれば問題ないとは言うモノの。本作はその自由度ゆえに、ファーストプレイでクリアまで進むのは何かと厳しい。それは初期設定の自由度の高さに関係している。

まずキャラというか、自分の操る帝国に所属する自国民の民族設定。これの特性の設定は非常に悩み所。地球人であれば非常に馴染みやすい太陽系を本拠とした勢力。ゲームスタート時には「国際地球連合」という名称で、直接民主制、代表民主制、軍事独裁制を選択することが可能になっている。ここで選ばれる特性、志向、国是によって、ゲーム中のイベント、ゲーム中の他勢力との交渉の選択肢が変化する。

例えば「国際地球連合」の代表民主制は現代の地球社会をモデルにしている様だが、非常に中途半端で「覇権」を狙うには不利に働く要素が多い。特性の「順応」、「遊牧的」、「浪費」はともかく、志向の「受容主義」、「狂信的な平等主義」と、国是の「自由の灯台」、「理想主義の基盤」が平和的すぎて中途半端な判断を迫られる事が多い。

戦闘民族……までいかないものの、せめてリーダーの寿命が延びる特性「永劫」くらい欲しいし、ある程度プレイヤーの趣向で物事を薦められるような志向、国是を組み込みたい。そういう意味でも選択肢の一番上に表示されている直接民主制は比較的自由度が高くなっている。

次にゲームの難易度等について、細かく設定変更が可能だ。ゲーム開始時に決定する、自分と自分以外の帝国、さらに舞台となる銀河の設定である。正直、本作のゲームとしてのやり応え度やドラマチックな展開等のゲーム性はほぼ、この初期設定で決定すると言って良いだろう。それこそ舞台の大きさ、「銀河サイズ」は、小(恒星の数200)、中(恒星の数400)、大(恒星の数600)の3つから選択できる。

初心者であれば当然、こぢんまりとしている「小」が判りやすく、ビギナー向けかと思うハズだ。しかし実際は小さい舞台では、ライバルとなる帝国と接触しやすい。とにかくゲーム序盤は敵と接触せず(戦わず)富国強兵策を推し進めるのが重要になるので、初心者に「小」は難しいだろう。この辺もゲーム中盤までプレイしてみてやっと理解できる要素だ。

さらに「鉄人モード」のオンオフも重要な要素だろう。デフォルトでオフになっているこの設定は、ゲームスタート後は変更が出来ない。これをオンにするとパーマデスとなる。トロフィーに興味があってもしばらくはオフのままをオススメする。ファーストプレイ時には銀河サイズを「中」に。さらに難易度はもっともやさしい「士官候補生」。それ以外はデフォルトが真の初心者向けだろう。

ゲームスタート直後に即出来る事がある

スタート直後。舞台の時間は停止している。本当のゲームスタートは時間を進めてからになるわけで、実際この局面で出来ることはほぼない。特に国際地球連合を選んだ場合は初期資源などの関係もあり、新しい事は何もできないと言ってもいいだろうが、既にある資材、資源に命令を下すことは可能だ。

  • メイン画面で十字キーの右を押し、上下で「調査船」を選択し、近接する恒星系へ派遣する。
  • メイン画面で十字キーの左を押し、「テクノロジー」「研究対象を選択する」でまずは何でも良いので研究を開始する。

調査船を派遣し、恒星系を調査。さらに「テクノロジー」で「研究対象を選択する」。この二つはゲーム序盤のプレイでも非常に重要となってくる。チュートリアルでも説明されるが、小出しで出てくるため重要度がわかりにくいところがある。

そして時は動き出す!△ボタンで時を操る所から

本作の序盤のゲームプレイは基本的に富国強兵のルーティンワークとなる。ゲーム序盤では敵対勢力は存在しない。とにかく他勢力に支配される前に、多くの恒星系を支配下に置く。領土を拡大して行く。これに尽きる。次々と恒星系を手に入れて資本となる資源、資材の入手量を増やしていくのだ。正直、この基本行動ですら少々手間がかかる。この辺は本格派の併せ持つ宿命として受け容れるしかないだろう。面倒な手間があるからこそ達成感が味わえるのだ。

スタート時一番最初に表示されている画面は恒星系MAPのハズだ。前述の通り国際地球連合で始めていれば、太陽を中心とした地球や火星などの太陽系が表示されている。ここで右スティック押し込みのR3を入力すると、メイン画面が銀河MAPに変更される。この画面はL2、R2で拡大縮小が可能でゲームプレイ時のメインマップと言ってもいいだろう。

とにかく近隣の恒星系の支配からスタートしよう。まずは調査船を派遣し、滞在調査させることで恒星系の情報把握を行うのだ。時を動かす前に派遣した調査船で判るとおり、プレイヤーは最初から、「リーダーとなる科学者が乗っている調査船」を1隻所持している。これを未知の恒星系に派遣する。調査自体は非常に簡単。十字キー右で移動するメニューの中から「調査船」選択。派遣したMAP上の恒星系に選択する。カーソルを合わせると「航路探査」と「調査システム」が表示される。下の段の「調査システム」を選択すれば後は時間経過を待つのみだ。

調査船を派遣したら、これまたゲームスタート時から所有している一隻の建設船を選択し、「調査船」を派遣した場所にカーソルを合わせれば、命令が表示される。まだ、この段階では×となっていて命令を実行できないハズだ。星系基地を建造するには資材などが必要になる上に、「調査船」の調査が完了するのを待つ必要があるのだ。

「恒星系の調査が終了しました」という報告と共に、その恒星系に「星系基地(前哨地)を建造」することが可能となる。これでやっと自帝国の領土(恒星系)が拡大することになる。

さて。超最初手、序盤の攻略を解説したわけだが、ポイントは「なぜこれを説明したのか?」である。本作はゲーム中の基礎となる未調査恒星系を自帝国の領土としていくための必須の手順なのだが、上記を読んでもらえば判る様に一筋縄ではいかない。それこそ、調査船で移動し制圧ボタンを押せばOK……というような単純作業では無いのだ。

自由度の高く、長期的な戦略が求められるため、初回プレイ時にはわからないことは多い。ゲームバランス自体は非常に練られているが、戦闘も含めて地味な印象は否めないだろう。

全てにおいて「手順」が重要

その傾向は序盤のみではない。ゲーム進行上ありとあらゆる部分で事前の準備が重要になってくる。ファーストプレイでクリアを目指すタイプのゲームではないというのは、「直前のセーブデータからやり直していたのでは間に合わない」という意味なのだ。ゲーム開始後百年経過したくらいになると周辺国の動きが活発になる。各種イベントが発生し、侵攻されることも珍しくない。予想された相手からの侵攻であればしのげるかもしれないが、予想外の敵発生の場合、準備に数10年単位で時間が必要な場合も多いのだ。そのため、数時間プレイしたデータでもやり直すことは必要となり、いっそ最初からやり直したくなることもある。

例えば、初期に配置されている戦闘用の艦船はコルベット。これをアップグレードするためには「テクノロジー」で駆逐艦、巡洋艦、戦艦などの研究をする必要がある。「テクノロジー」で研究できる題材は各種条件+ランダムで候補が提示される。つまり、戦力強化のため、艦船を強化しようと思ってもなかなか「駆逐艦」の研究が選択できない場合も多々あるのだ。非常に長期的な計画が必要になるのは間違いないだろう。長期的な戦略が必要になるゲームシステムは、『シヴィライゼーション』等のグランドシムでは良くあるが、一見さんには厳しいものはあるだろう。

さらに、ここでやっかいなのが、初期設定でオンオフ可能な「鉄人モード」だ。正直、これをオンにしてある場合、「比較的良い状態」の結構前のセーブデータからやり直すことが不可能になる。長期戦略が要になる本作でこのモードをオンにすることがどれだけ辛いモノかは実際にプレイしてみると良く判るはずだ。

アノマリーと伝統によって様々な展開が

積極的に選択していかなければいけない要素はまだまだ沢山ある。中でもアノマリーと伝統の2つは、前述のテクノロジーに並んで重要な要素と言って良いだろう。

「アノマリー」は未知の科学技術、遺産と言ったイベント要素で、恒星系調査の際に発見される。宇宙浪漫溢れる仕様なのだが、この研究の条件もなかなか難しい。調査を行うための「科学者をリーダーとして乗せた調査船」が必要な場合も多く、さらにそこに派遣したまましばらく時間がかかることも普通。

「伝統」は帝国全体で得られるパッシブスキルの様なもの。選択した項目毎に国全体にボーナスを得られる。惑星上の施設に寄って増加していく統合力を消費して入手する。さらに伝統は系列毎に7つのツリーが用意されており、まずは、ツリーをコンプする方向で入手していくのがオススメとなる。ツリーをコンプリートすると、アセンションパークというボーナススキルが手に入るからだ。

このアセンションパークは伝統で手に入る能力よりも、さらに強力になっている。正直、ゲーム序盤ではプレイスタイルを変化させてしまうくらい影響力は大きい。ただ「伝統」の名前自体はSF小説的な要素満載で、プレイヤーが直接的に理解しにくいのは難点。イベントなどでの各種報告にまでフレーバテキスト的な要素が含まれているのはSF者としてはたまらない部分だが、判りにくいと判断するプレイヤーもいるかもしれない。

居住性70%以上であれば「入植」

恒星系を調査していくと、極まれに居住性70%以上と表示されている惑星を発見することがある。これを見つけた場合即、「入植」を考えた方がいいだろう。資材や時間が非常にかかるので、発見即入植計画で問題無いのだ。資源のほとんどが惑星から得られる以上、居住可能惑星を増やしていくのは非常に重要な要素なのだ。ゲーム中盤以降になればテラフォーミングで惑星改造が行えるようになるため、居住性の低い惑星には手を出さず、まずは最初から居住性の高い惑星を選ぶことになる。

国際地球連合でスタートしていれば、太陽系の周囲にあるいくつかの恒星系のうちの一つが確実に「アルファケンタウリ」となる(筆者プレイ確認時)。居住性の高い惑星が発見できるはずなので第2の地球として早々に入植を行っていきたいところだ。

SF世界の覇権争いの雰囲気は異常なくらい精密

本作はムービーが流れ、重厚なメインストーリーが開始する……という様なタイプのゲームではない。これまで挙げて来た序盤の攻略ポイント、注目すべきシステムから判る様に、非常に詳細で多彩なシステム、イベントなどが組み合わさって歴史が構築されていくのだ。冒険譚を雄弁に語るナレーションは存在しないが、古代異星人文明の遺産や、超奇怪な宇宙での自然現象などの報告は頻繁に送られて来る。フレーバーテキストと重要なイベントテキストが混ざっているので、良くも悪くも会話での選択肢などは非常に悩むことになるだろう。

当然、それらを統合して今後の帝国の方針を考える、宇宙空間に想いを馳せることで自分が国を運営していることを実感出来てしまう。ゲーム進行的に何かをしようと思ったら、準備に時間ががかると前述したが、これらプレイヤーの「想い」や「心意気」も実感するまで少々時間がかかるの気の長いゲームプレイを求められる。

戦争を仕掛けるにしても、ただ単に戦艦を敵の恒星系に突っ込ませればいいわけではない。宣戦布告を行ってからと手順を踏むことになる。わざと敵を怒らせて、戦端を切らすのも一つのテクニックだ。それこそ「もうダメだ、やり直そう」と思った場合、直前のセーブデータからの再開では何も出来ないことが多い。それをプラスと取るかマイナスと思うかはプレイヤー次第になるだろう。

ゲームプレイのたびに銀河の形も大きく変貌するのも大きい。敵勢力の種類や配置も同じになるコトはほぼない。宇宙の広大さ、未知の領域というイメージが、プレイする毎に変化していくのは無限の宇宙を冒険している感覚に浸らせてくれる良いポイントだ。その反面、ゲーム序盤の難易度はこの恒星系の地形や配置によって大きく変化する。

UIはコンシューマ用に非常に細かく調整されている。特によく使用するコマンドや操作する要素に関しては、画面左右のバーに振り分けられている。十字キーの左右でこれを直接選ぶ事で自分が必要なコマンドに簡単にアクセスが可能だ。コンソールの特徴でもあるコントローラを上手く使用し、大系別に操作できるのは長時間プレイするには最適だが、スクリーンショットを見てもらってもわかる様に、複雑なUIが画面上に多く並ぶ。そのため文字が小さく細いために読みづらいのが難点。この辺はバージョンアップで修正が入るといいのだが……。

用意されているBGMはどれも重厚でスペースオペラに相応しく、正統派にして王道な曲が非常に多く用意されている。ゲームプレイ中の気分をもり上げてくれるのは間違い無いだろう。自分の好みで曲を選択することが可能なミュージックプレイヤーが用意されているのも嬉しいポイントだ。

宇宙銀河帝国を運営経営し武力よって制覇していくという「銀河~」と冠したSFタイトルの目立つキーワードがこれでもかと詰め込まれている。非常に自由度が高く、イベントも多数発生する。経営要素を含んだ戦略級のシミュレーションゲームとしてはかなり高レベルでまとまっている。『シヴィライゼーション』等のグランドシムと同様、長期的な戦略が必要があるが、バランスなどは非常に練られている。ただパーツを組み合わせて自由に設計できる巡洋艦や戦艦などの戦闘シーンが見られないのは残念だ。

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August 30, 2020 at 11:15AM
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